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2021/01/01 12:00:00

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投稿作品一覧

わっか


月のわっかをひっかけて

頭にのっけて笑ってみせた

「あなたの願い、叶えてあげる」

天使になったきみが言う。

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回折格子

その二枚か三枚かの舌が造る世界が
あなたには本当なんだとしても
私には無縁の世界で

    窮屈そうな
    言葉たちをほどいて
    その向こうの空を見る

    さよならさえも言えない
    あの人は
    何と戦っていると言うんだろう
    その瞳に映る空には
    青が見えない



暗号なんか要らない
解読の楽しみなんか要らない
論破のための言葉なんか要らない
私には要らない

    今日雪降って消えた
    ことばはとんと降ってこない

    今日雪降って消えました
    ことばはとんと降ってきません
    そんな気持ちだけが
    しんしんと積もっては消えて
    これも恋なんだと笑う
    赤い頬っぺたの頃の君が
    湯気の向こうに消えた

    今日雪降って消えた
    ひざを抱えて眠る者たちに
    降って消えた
    ことばはとんと



その二枚か三枚かの舌が造る言葉が
真実なんだとしても
あなたには真実なんだとしても


   

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往復書簡

魂と魂の繋がりを
いつの間にやら見つけて
思い出せない前世の続きを
噛み締めながら

一歩後ろを歩く駐車場
長い年月が奏でた音を
一つずつ確かめ
澄んだ夜空の月と木星

あなたが居るから
冷たい風も心地良く
ただの私として呼吸をする

沈黙の顔は
晴れて自由を取り戻し
星の導きに寄り添うままに

隠れ蓑は要らない
真の愛に目覚める
来世への魂と魂の繋がり

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月を灯す

共感すればわかるわけないといい

反論すればそんな事聞いてないといい

黙っていれば何も感じないのかといい



だからわたしはわたしの月を灯す

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魂の幽霊・幽霊の魂

御霊についての見解がききたくて、夕飯は外でって言ったのに帰ってきてしまった。夏は暑いのにどうして冬は寒いのだろう、あたしがいてもいなくても。
言葉には魂があります。人には魂がありますし、右手には右手の左手には左手の魂があります。心臓の魂、腎臓の肝臓の十二指腸の魂。釘の魂。金属バットの魂。病の魂。記憶の魂。雨の魂。空の魂。穢れの魂。天使の魂。悪魔の魂。幽霊の魂。魂の魂。魂の魂の魂。
魂続きのこの世の中で毒を持つ海月であるためには海豹や魹のような巨体が必要だと聞いたことがある。
神さまは神格化される前に神さまになってしまって御霊を作ったって言ってた(誰が?)魂。
ほら、雨の幽霊が冬の幽霊のなかで晴れの幽霊を殺しているよ。あっちでは家出の幽霊が家出少女の魂を呼んでいるよ。家事の幽霊はサボりがちで、風呂の幽霊はかびている。枝毛の幽霊やキューティクルの幽霊がヘアピンの魂を抱きとめていて、小声の幽霊が寒い寒いと言い、カンガルーの幽霊とゴリアテの幽霊が闘っているね。厠の幽霊はトイレの幽霊やはばかりの幽霊や泉の幽霊と愛のうたを歌い、あなたともやり直せるような気がしています。
魂はただしい。魂である限り。神さまの幽霊が時間の幽霊と旅の幽霊を連れて逆さまに歩いている頃、地球の魂は長いながい隧道を抜けて隧道の魂を引きちぎって行った。
やっぱりお腹が減ると空腹になるんだね。まだ冷めないうちに味噌汁の魂をひと口いただき、空になった味噌汁の幽霊が地上を離れて魂であることを辞めようともがいて、あたしは腹が捩れるほど笑って笑いの幽霊になって、もうどこへでもいけるとわかってはじめてどこにも行く場所がなかったとわかった。あなたが帰ったのはその時だったと記憶の幽霊が喋り、言葉の幽霊がこの星を覆っていた。

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歓迎されないブランコ

都会の隅っこにある公園の砂浜の脇には、限られたスペースに鍵っ子専用の真新しいブランコがあって、いつも整然と止まっているので僕には歓迎されてないかもだと思ってしまう。
それは僕が憂鬱な顔をして、大きな音も出さずに座っているのを、廻りの人間たちから見れば不信感を引き連れて佇んでいるのだ、と厄介な思い違いをされること。
そう考えているうちに少年たちが鳩をいじめている。その少年たちを怒鳴りつけるからだろうと想像できるからだ。
部屋の中ではGAZAのブランコが愉しそうに揺れていた。
廻りは瓦礫に囲まれているというのに、少年たちの無邪気な笑顔は僕の瞳の中で鳩に舞い上がる。
父親は誰だろう
汚れた衣服で瓦礫の片付けをしている。
母親は誰だろう
水を運んで来ては洗い物をしている。
エルサレムの丘で白い花々が添えられて、食卓はあざやかな色に包まれる。
僕は鍵っ子でもなければ鳶色の瞳で空を飛べることもできないよ。
瓦礫に埋まるテーブルの白い花々だけがあたまを過り、
目の前にあるコンビニでアイスクリームを買った。
夕陽に溶け出して、また朝が迎えにくれば少年たちの無邪気な笑顔は消えていた。





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プラネタリウム・テイクアウト・デイズ

地球上の人類全員に、つけられるようになった順位。
政府から届いた封筒には、『あなたが最下位になりました』。

その夜、神様がなくしてしまった、地球を作るレシピを拾う。
そこには『ビックバン大さじ1+アダムとイブ』って書いてあって、
私は自分の脳内で、大さじ1のビックバン起こして、そこに小さな地球を作った。

放課後、あの子に影がないことに気づく。
「私ね、影だけが不登校なの」とつぶやく、
あの子の順位は、11億7601位。

未来の物が売っている、未来デパートで買った、
何でもテイクアウト出来るリュックサックで、
プラネタリウムを、テイクアウトして、
不登校になった、あの子の影に見せに行く。
プラネタリウム・テイクアウト・デイズ。

その帰り道、神様がなくしてしまった、天使の採用試験問題を拾う。
そこに書いてあった質問に答えた瞬間、
私の順位は1位になった。

Q.『人間の平均寿命が3分間になった世界で、君は何して、一生を終える?』

「カップラーメンにお湯入れて、次に生まれた奴に食わせる」

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シャボン

どこからか
ふつふつと雑音が沸いてきて
キャーッと悲鳴を上げ
誰かの裾を掴まえるが
裾はシャボンでできていて
パチパチと弾ける音ばかりが鳴る

逃げれば先はない
逃げなければ苦しい
ホームの後ろに 
黒い抜け道があると聞いた
腰まで水に浸かりながら歩き
向こう側へ出た人がいる

駅のコンコースには噴水
豚まん店の裏は空洞になっている
水羊羹を売る小さな店は
ときどき 色がちがう

皆、泡のように浮かんでいる

私も真似て見るが
なかなかうまくゆかない

駅の中の本屋から
SOSが聞こえる
だめだった人たちだろうか

走る
手はシャボンで一杯
足が 痛い
雑音が
延長コードのように伸び
その先っぽは、手だ

もう、いいと思う
ここはシャボンの世界

豚まんを買い
するりと改札をぬける

陽射しが伸びてきて
次の闘いが始まる
終わりのない シャボン

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ラジオカセット


ラジオカセットの形をした惑星。

君の足が再生ボタンを踏む。

肺炎のサタンが地獄でした咳の音が聞こえる。


一日に一本、指が増えるようになったから、
一年後には340本になってしまう。

「どうにかしてよ」と言われた、
一休さんの頭の中では、爆音のポクチンが鳴る。


「涙に色を付けられるとしたら、何色にする?」
皮膚と同じ色にして、泣いてる事がバレないようにする。


分度器のように世界が真っ二つになって、
反対側の惑星にいる君に会うためにしたジャンプ。


辿り着いたのは、ラジオカセットの形をした惑星
君の足が再生ボタンを踏む

狼に育てられた子に恋をした奴が、
「ガオーガオー」を連呼した愛の告白が聞こえる。


来世では蚊に生まれ変わりたい。

そうなって一番最初にやりたい事は、
君がしたピースの隙間をくぐり抜ける事。

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輪郭

滴る汗は
宝石で
流るる涙は
絹のよう
あなたの顔を
映し出し
開かぬ眼は
泣き叫ぶ
嗚呼よくよくと
ご覧なさい
かの麗しき
あなたさえ
さらに一層麗しく
冥土の道を
歩みます
もうこの世には
あるまじき
美麗を纏った
あなたには
最後に送る
土産とて
絹を一枚
差し上げましょう
御顔の線を
はっきりと
強調している
輪郭は
今まで見てきた
輪郭の
中でも一層輝いて
私に雨を
降らせるのでしょう

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クロソイド曲線

国境のトンネルを
口下手な父の背中を
後部座席に寝ているふりで

にぎわう峠のドライブイン
見知らぬ町
見知らぬ人々のなかに
いつもとは違う顔の父がいた

ナトリウム灯に
群がるように雪がふる
硬く白い路面に
縦型の信号機に雪がふる

促されるまま
連続するカーブの
残りをひとつ
またひとつ数えて
からだが右左に傾くたび
父と子のぎこちない言葉が
すこしずつ解けだした

今年、父と同い年になる

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「ドメイン停止考察」としてのクリエイティブ・ライティング

この文芸投稿サイトは5月末で閉鎖になります。
理由はまーくんの足が臭すぎるからです。









 
悪ふざけの投稿と断じるのは容易い。だが、私には単純に切り捨てられない背景があった。


まーくんとは誰か。その人物の足の臭気と、サイト閉鎖とのあいだに、いかなる因果関係を想定しうるか。理由が理由として成立するための論理条件はハナから放棄されている。理由が明記されていながら、理由について考えること自体が忌避されており、私は上述の二行を閉じた文章だと感じた。


あるいはこれを一笑に付すこともできたのかもしれない。
だが、それができなかったことには理由がある。この投稿を行ったのが、ほかでもない「伝説のしこたま詩人」だったからである。


このところ、私が参加している文芸投稿サイトでは、「伝説のしこたま詩人」という謎のアカウントが運営を乗っ取ったらしい、という噂で持ちきりだった。規約やマナーにうるさいはずの場で、彼の横暴だけがなぜか不問に付されていたからである。誰かが注意すれば炎上し、誰かが黙ればそれが「理解」とみなされた。


伝説のしこたま詩人は、あらゆる投稿作品に対して「中々のしこたまですね」といった、意味の判然としないコメントを残す。それを批判した者には、サイト内外で執拗な罵倒が飛ぶ。投稿をやめるまで、あるいはやめた後でさえも、追撃は止まらなかった。批判を許さず、集団で言葉を浴びせかけ場から追放する。その有様は、さながらカルト宗教のようでさえあった。


気づけば、投稿サイトは、しこたま詩人とそのシンパしか残らない場になっていた。残った者たちは、彼の言葉を読み解き始めた。「しこたまの輝きですね」が最上位であり、「しこたまが微笑んでいます」「中々のしこたまですね」「しこたま読みました」「これのどこがしこたまですか」といった順に評価が下されているらしい、という考察まで共有されるようになった。


しかし、しこたま詩人の挙動には逐一、反応するくせに、サイト閉鎖は話題に上ることもない。この場所は、しこたま詩人に気を遣ってまで参加したがる者にとってさえ、すでに閉鎖を惜しむ価値を失っていたのだ。


私はその光景を、強い不快感とともに眺めていた。
私は、自分では真面目にやっているつもりだった。いや、真面目というより、文芸投稿サイトという場に対して利他的であると信じていた。


気合いの入っていない投稿者を見つければ、もっと考えて書けと態度を変えるまで説教してあげた。文芸投稿サイト外で、他の投稿者に軽薄なエアリプを飛ばしている者がいれば、サイト内外で痛烈に批判し更生を促した。ろくにコメントも書かず、配信やツイキャスにばかり熱を上げる者がいれば、放送中に怒鳴り込んだこともある。嫌われる行為であることは分かっていたが、それでも私は空気を読まずにやった。表現者とは、予定調和を壊す者であり、文学とはそのようにして守るものであると信じていたからである。


だからこそ、5月末のサイト閉鎖について、私は深刻に考えざるを得なかった。

しこたま詩人が場を掌握しているとはいえ、創業メンバーの一人がドメインを所有しており、その人物が5月で更新をやめる、という話が出回っていたからである。その人物は、規律やマナーに厳格な制度設計を行った張本人であり、しこたま詩人の振る舞いを強く嫌気しているとも聞いていた。


つまり、この二行は冗談でありながら、予告でもありえた。

理由はいい加減だが、結論は異様なほど強固である。そういう、もっとも食えない構造を宿した宣告だった。


私は創業メンバーの一人であり、ドメイン所有者でもある「花緒」という人物に連絡を取った。閉鎖は本当なのか。継続の意思はないのか。既存のドメインを捨てても、また誰かが新たにドメインを取得すれば済む話ではないのか。何が背後で起こっているか投稿者の立場からは伺い知れないが、しこたま詩人を排斥したいなら、私も協力できる。


しかし返ってきた言葉は、予想外だった。

「最初に言っておきますけど、私は閉鎖に賛成です。あなたみたいな人が跋扈するのは、単純に不愉快なんですよ。軽蔑しかしていないですし。あなたみたいな人って、要は足が臭いだけ、みたいな話じゃないですか」


まったく意味が分からなかった。
不愉快なのは、しこたま詩人ではないのか。私は食い下がった。
花緒は銀縁メガネを掛け直し、少し黙ってから、こう言った。


「私からすれば、しこたま詩人の方がまだ救いがあります。親切な人間には親切を返す。協力する人間を無駄に傷つけない。最低限、その程度のプロトコルは守っています」
そして花緒は続けた。


「あなたはその逆です。協力されると、協力のやり方が悪いと言って相手を攻撃する。貴方には自覚がないでしょう。
例えば、久しぶりに投稿してくれたユーザーに、もっと活動しろと怒鳴り込む。まだ投稿間もない初心の者に、経験が足りないと罵倒し粘着する。それを文学的正しさと主張し疑わない。もっと俺に近い立場に立ってくれと騒ぎ立て、ますます相手を遠ざけてしまう。
平たくいうと、遊んでほしい相手に悪態をつく幼稚園児と同じです。そのレベルの低次元の悪癖に文学という名を与えること自体が、既に文学的ではないのですよ」


私は納得できなかった。
花緒によれば、しこたま詩人は荒らしだが、私のような人間は「運営する責任は引き受けないくせに、支配欲だけが肥大した迷惑投稿者」だという。捨て地を荒らして楽しむ者と、他者に理想を強要する者。そのどちらもが、場にとって迷惑でしかない。


「あなたは、真剣な人間だけが残る場を望み、実際に他者を排斥してしまう。でも、その姿勢自体が既に真剣さから外れていることに気がつかない。貴方に任せれば、しこたま詩人以上に人が減り続け、場が閉ざされていくでしょう」


花緒は一拍おいて、こう言った。
「そして、何もなくなったあとには、あなたの足の臭みだけが残るでしょう。Bye」


私は激怒した。
支配欲をたぎらせ、自由であるべき文学の場に秩序を持ち込んだのはお前だろう。その反動として、しこたま詩人のような荒らしが湧いたのではないか。何の実力もなければ、実績もない。そもそもお前は文学を必要ともしていない。ヨン・フォッセもフォローできていない程度の文学的素養で、ドメインを盾に規律を語る、このポンカス野郎が!


その後のことは、もう考えたくない。
私には、田伏正雄、すなわちまーくんという名の巨漢の友人がいるのですよ。彼の足の匂いをあなたに嗅がせてあげたい。それが私の文学的正しさなんです。花緒は確かに、そう言い切った。私もあなたに輪をかけて利他的なんですよ。銀縁メガネの奥に潜むその目は、もう完全に異常者のそれであった。


それからというもの、私の部屋から、私の持ち物から、あらゆる場所から、足の臭いが立ち上るようになった。どのような手段で、どのような執念によって可能になったのかは分からない。ただ、どこにいても吐き気が止まらなくなった。


私はもう文芸投稿サイトには関わらないことにした。
理由はまーくんの足が臭すぎるからです。

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長万部へ      《散文詩》

長万部へ行こうじゃないか、とミノル君が切り出した。私は感激した。由利徹が来るというのだ。なるほど、そいつぁいい、と賛同し、ついでに八雲で蟹も食って来ようぜ、と新たに提案する。はしゃいで私はコップを呷り、もじゃもじゃ頭のミノル君はセブンスターを美味そうに吸い込んでは煙りを吐き出す。五時半の長万部行きに乗ればいい、とミノル君が云う。先ほど、学校から帰ると学生服脱ぎ捨て酒屋へ赴き、ミノル君の誕生祝いにサントリー・カスタム一本買い求めて戻り、エビセンと南京豆なんかをツマミにずっと飲み続けているのだ。我々は律儀で真面目な学生だ。と云うのは、学生服を再度着用して奴は椅子、私はベッドの端に腰をおろしてウィスキーを飲んでいるのだから。制服の襟には室蘭S高校の校章、Mに錨マークのバッジが光っている。窓の障子を透かして入ってくる日差しは鈍く、六畳ほどの部屋は何か薄暗いのだが、本棚三本もの蔵書が羨ましく、下宿生活が物珍しく、しばしば放課後に私はこの部屋へ別称「しけこむ」と云われる訪問をする。

さあ、行こうじゃないか。ん、出発進行だ。と二人立ち上がり、襖開けて部屋を出ると、覗いていたごとくに突っ立っていた下宿のオバさんに出くわし、あら、ご飯は?とミノル君に問いかけるのに、けっこうです、僕たちは蟹を食べに行ってきますから、とその眼鏡をかけたオジさんのような顔のオバさんに答えるのを聞きながら、玄関の引き戸をがらがら開けて外へ出ると雪。大きな綿のような雪がふわふわスローモーションのようにゆっくりと落ちてくる中、ミノル君のあとを追う。

喫茶店すぷーんふるの前を通り過ぎ、第一ホテルの角を曲がると東室蘭の駅舎が間近に姿を現し、ひゃあ、もう着いてるぞお、というミノル君の声にそちら見やれば、ごおごおと赤黒い煙りを雪空に吹き上げて停車しているのは黒光りした蒸気機関車。雪漕いで、転んで起きて、入口に辿り着き、階段を昇る。悪臭漂うほの暗く長い長い階段を息せききって昇り切り、売店と待合室の前に屯している大勢の中を通り二人改札抜けると、いつもは下りの階段が上りになっている。あれれ、これは本輪西や伊達紋別みたいな造りの駅に変っちまってるぞ、と訝りながらも、汽車はあちらのホームだね、と確かめるや、目の前に屹立するがごとき急角度の階段を昇り始めた。前後しながら二人、ほぼ垂直のその木製の階段をロック・クライミングよろしく昇り終えると左手に回廊があり、様子伺えば床はあちらこちら黒い穴だらけ。中を覗けば立ち昇る機関車の石炭臭い煙りに、わっ、と二人噎せ返り、恐る恐る左足、右足、と交互に擦るように歩き渡り、さあ降りるぞ、と見下ろせば、その数段先のすぐそこから階段が切れている。参ったなぁ、こりゃ、と下を眺めると、階段に赤いシーツのようなカーテンのような布が結わえてあり、それが捩れて縄のように紐のようになったところへ大勢の人たちがしがみついているではないか。しゃーないぜ、と云うミノル君の声に臍を固めて我ら二人も、ぐいっ、と力を込めて紐を掴み、降り始めた。早く早く、汽車が出ちまうよ、そう云ったって、おい、男の頭に靴はないだろ、痛いよ、などとやり合いながらようようホームに降り立つと同時に、ボーーーーーーーーーッ、と汽笛一声かん高く構内に鳴り響いた。残る体力振り絞り、ごおっ、ごおっ、ごおっ、と蒸気の音もの凄く動き始めた機関車のデッキに大勢に混じって飛び乗ろうとしたが、振り落とされてホームにあえなく転落。

ああ、と慨嘆これ久しゅうしていると、スガさーん、スガさーん、こっち、こっち、とホームの反対側から私の名前を呼ぶ声があり振り向けば、ディーゼル機関車三両立ての中から手を振っているメガネをかけた者がおり、客車に乗り込んで誰かと見れば、それは札幌で古本屋をやっている同業のササキ君という友人であり、室蘭へ行きましょう、室蘭へ、古本屋が新しくできたというニュースをキャッチ致しました、かつて誰も見たこともなく今まで知られていなかった幻のとんでもないまったき珍本があるという極秘情報なのですよ、いいですか、見つけた暁には山分けですからね、ともかくそれでぱあーっとやりましょう、ぱあっーと、と興奮の態で話すTシャツ姿のササキ君を横目で眺めながら、前祝いです、と差し出されたカンビール飲みつつ、なんとなんと、でもまあそれもいいかな、と心傾き動かされ、しかしそんな有益な報せをもたらしてくれるとは持つべきモノはああやっぱり友達であることよなあ、といつのまにやら姿の消えたミノル君を捜しもせずに、雪も止んで夏の真昼のように明るい夜を今ゆっくりと走り出した室蘭行きの中、窓の外に流れ行く原油タンクや、美しい黄色やピンクに赤い煙り吐き出す煙突が空高くそびえる工場の連なりを眺めているばかりなのであった……………………
                              















*註 由利徹(1921~1999)は喜劇役者。彼の後期の十八番的な芸に、独特の滑稽な表情で、奇妙な身振りと伴にただ一言、「オシャ、マンベ」と繰り出すギャグがあった。

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探査機

揺動 

午前8時23分、惑星探査機「X」の打ち上げに成功しました
君は狭い箱の中に詰め込められ空に飛び立つ
もうひとつの地球にも海はあるのかな
あの日見た夕焼けの光がまぶたの裏にこびりついて
多分、草ぐらいは生えているよ
海は赤いかもしれないし、空は真っ暗かもしれないと君はおっしゃる
友達の証として持っていったキーホルダーは
大気圏を突き抜けると燃え殻になった
ああ、何かがあるといいな
コンビニの限定スイーツぐらいの淡い期待に体がふるえる

「あなたを不幸にできるのは宇宙でただ1人だけ」

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君の足音交響曲第九番

地球の真ん中は空洞で、
その中は世界中の全部の音を、
奏でているオーケストラがいて、
次に始まるのは、君の足音交響曲第九番。

眠れる森の美女は、夢遊病で、
パジャマのまま、首都高を全力疾走。

モナリザが目からビームを出して、
見に来てる人達全員を、
虹色のテトラポッドに変える。

ピノキオぶっ殺して作った、
アコースティックギター。
弾く弦を間違うたびに、伸びていくフレッド。

ウルトラマンが寝返り打ちまくって、
気付いたら滅んでた都市。

全ての物語、ハッピーエンドにする委員会が、
ネロとパトラッシュに、当選させた、
年末ジャンボ宝くじ。

無菌室で育った少女。
バイキンマンに恋をした。

聴診器の音、Bluetoothに繋いで、
君のハートビート、世界中に流す。

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夜 明 け の 扉



し ず か な し ず か な
夜 明 け の 空 に 霧 が か か る
手 に つ い た 絵 の 具 と 同 じ 色
隙 間 か ら 見 え る 古 び た 扉
笑 い た く な い な ら 土 に 潜 れ ば い い
唄 い た く な い な ら 鏡 を 睨 め ば い い
消 し ゴ ム が な い な ら 雨 に 打 た れ れ ば い い
あ け た い あ け た い
扉 の 向 こ う を 見 て み た い
眼 を 閉 じ 両 手 を 伸 ば す
ザ ワ ビ ギ ル リ
佇 む よ う に じ っ と し て い る
土 か ら 芽 が 顔 を 出 す
鏡 に 映 っ た 太 陽 が 微 笑 む
雨 の 代 わ り に 涙 が こ ぼ れ た
そ の と き
扉 は サ ワ ン と 開 い た
眩 し い
明 る い
や さ し い 朝 に
ゆ っ た り と 言 葉 を か け た

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[え]えんとつ屋根の下

赤いえんとつ屋根の下がお気に入り

色えんぴつと画用紙を持ってひろげる

温かいココアとデコボコのクッキーを側に

冬の隣に薪木を暖炉へ焚べる

瑠璃色の陽炎がえんとつ屋根の中を昇る

何億の溶けない雪の一粒がえんとつ屋根を通って瑠璃色へと落ちる

赤いレンガが煤けて、おかわりに飲む珈琲

揺り椅子に座って思い出に浸る

煤けたえんとつ屋根の元でシワをなぞる

今日もここはわたしの特等席

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ふわり

暖かい風と空の中、私はいつかその風になりたいと思うただ一人の人間だった。
最近の生活は少し自堕落で、躁にまかせて勢いを飛ばしすぎた。
なんだかさ、もういいんだと言いたいけど、まだ生きなくちゃいけないと思ったり、そうでもなかったり。
そんな毎日にキスをして、ハグをしてもらって、息をする。


ありきたりな検索窓からのメッセージ、拾って歩くネットの樹海の中。
ふと、目に留まった「まだ生きたい」が芽を出すのを放って置けずに、水をあげてる。
ため息と、そこから眺める、絶景。


魂を死神に渡す前に、あの情景を思い出して、渋って、ドタキャンしたりして。
君だけに届けばいい。そう言い渡してばらまいたチョコレートは、少し苦くて甘酸っぱい。
あなたとさよなら、もう行かなくちゃ。心、置いてかないで、ね。

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ぽたぽた焼き


たまねぎを切るときは
目にしみてしょうがないけど
冷蔵庫に入れて冷やしておくか
切るときにコンロの火をちょっとつけておくだけで
涙が出にくくなるように


ふきんを使っても 輪ゴムを巻いても
固くて開けられない瓶のふたが
ふたのまわりをちょっとあっためてやるだけで
簡単にパカっと開けられるように


生きていくためのコツみたいなものも
きっとあるって あたし思うのよ





生まれた環境がほんの少し違っただけで
幸と不幸が分けられてしまう
それで人生すべてが決まってしまうのならば
神様 生まれる前に殺してくれたらよかったのにと
いまさらそんなことを云ったってキリがない



愛情過多で嘔吐し続ける人もいれば
愛はおろか 衣食住さえまともに与えられずに
自分を痛めつけずにはいられない人もいる
傍から見れば 一見どんなに幸福そうにみえても
みんなそれぞれ なにかしら抱えて生きている
どんなに足しても掛けても つきまとう物足りなさ
割っても割っても割り切れずにもてあましてしまう感情
それを人は 淋しさといい 
悲しみと呼んでいる




生きることに正しいも間違いも本当はないんだけれど
人はひとりではとても脆くて弱い生き物だから
持ってる人をうらやみ 持っていない自分を憂いて
何が上で何が下とか 安心材料ばかり欲しがって
そんな自分がたまらなくかわいそうでかわいそうで仕方なくって
いじけて不貞腐れて こんな人生いらねえやなんて
半透明のゴミ袋に入れてゴミの日に出そうとするも
それが燃えるのか燃えないのか あるいは粗大ゴミ扱いなのか
粗大ゴミなら有料で いくらかかるのかなんて考えてるうちに
結局出せずに 溜まっていく一方だったりしてさ
ホント どうしていいかわかんないったらありゃしない



でもさ でもね
たまねぎを切るときの裏技とか
固い瓶のふたを開けるためのコツとかみたいに
生きていくためのコツがあったって不思議じゃないわけで
人生を切り開く缶切りみたいなのがあるんなら
すべてをあきらめたふりして逃げてる場合じゃないなって
そんな缶切りがもしあるのなら
これはもう なにがなんでも探すしかないって
探すしかないっていうのはつまり
生きてくしかないってことだから
もう四の五の云うのはやめにして
そろそろ本気で生きなきゃなってさ




……な~んて
なんだか真面目くさい話になってしまったわね





それより そんなこと考えてたら 
なんだか急に お腹がすいてきちゃったわ
寒い日が続いてることだし 今夜は久々に
トマトシチューでも作ろっかな





☆★**★☆**☆★**★☆**☆★**★☆

 ぽたぽた焼きの袋の裏にあった、おばあちゃんの知恵袋
 あれ好きだったんだけど、久しぶりに買ってみたら
 子どもの遊び、にかわってました^^;
 イラストのおばあちゃんもリニューアルされたみたいでした(^_^;)

 それにしても、トマトスープをよく作るわたしです(^^)







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問わず語り/蛍雪の功と、春隣。

2026年、最初のエッセイ。

 初冬の書初め。数年前に本拠地として利用していたノベルアッププラスで『馬』エピソードを書下ろし。
 スピード感を持って書かなければいけない理由が、ふたつ。
 私は文章に賞味期限があると思っています。エッセイはタイムアタック。最後まで書いて推敲は後で、この方法で書いています。画面の前から離れても、その日のうちにまた書く時間があればトライ。でも、生活の余白を埋める予定は様々。ひとりで暮らしてないとそんなもの。
 だからテーマを用意して、時事ネタや近況報告などが多くなってしまうのはそのせい。
 小説だと物語の進行などの設定(プロット)を予め用意して、その時々で思い描く内容を区切りながら「読み切り」スタイルで書き上げますが、エッセイは一度きり。CWS投稿用に下書き保存したエッセイの数は半年で30本・・・・・・といったら、驚きますか。

 もっと哲学、とか。
 このエッセイを読む確率が高いのはCWSユーザー。現代詩の解体や見解、詩が書けるようになるのがベスト。なんだろうけど、調べるほどに現代詩の文化、歴史とそのものが持つ性質は勉強ではなく実践が必要なのだと思い知らされる。
 ちょっと軽い気持ちで────
 詩を書いて閉じる分にはいいのよ、すごく。

 それを誰かに見せる気にはならないので。あくまでも私の場合。

 さて、先日書いてたエッセイが消えました。ノベプラの本文は窓を消しても復元しますが、文章の一部3000/800字程度しか戻らず、改めて書く気が失せる。
 二度あることは三度ある
 CWS本文に打ち込んだ投稿もエラーで全部消えました。
 執筆した時間でいえば4時間、10000字の消失。およそ3話分、それほどボリュームがなかったからいいけど、今後はデジタルノートを利用して手元を整理しながら、投稿に向けた方が読み物はできると判断。
 投稿サイトはジャンル別で書き分けて、気分転換できるように工夫しています。
 これは受験勉強で学んだ、同じことをやり続けても飽きない方法。
 しくじり先生という番組で、オリエンタルラジオの中田敦彦さんが同じ方法で勉強して、慶応義塾大学に合格。あっちゃんが実際にやっていたんだから、マジです。その方法とは?

 主要・五教科。

 好きな教科から始める。まずは国語、社会。脳が動くようになったら英語、ちょっと休憩にラジオ番組を30分ほど聞きながら単語帳を軽快にめくり読み上げて、次に理科や社会の文章問題を解きながら読書する。数学は短期集中・20分、休憩5分をワンセット4回。それ以上やらないと決めていた。
 ある程度のルーティンで脳の活性化をコントロールして、飽きないように長時間の勉強を習慣にする。

 これがオリラジあっちゃんの勉強法と一致していたのは、驚きました。

 ずっと同じことを集中して続けるとミスが起きるので、たまに体を動かしたり、家族と一緒におやつを食べながら図形を書いて計算、問題集をやりながら談笑する。全く離れるのは部活やバイトをしてる時間だけ、だから家庭ではいつも勉強をして見えたかも知れない。
 勉強は成果が伴う。テストの点数が全て。ただ学力だけではない、副教科(実技)の評価も内申点の計算式に入るので、苦手を克服して得意に換えていく努力が評価に繋がる。
 ランクは総合的な判断で、単なる自分の立場つくり。当日点が取れないと意味ない。
 本番に強くなければ勝てないのはスポーツも同じ。思考を形成する関節環境は整っていたので、課題に対する探求心と問題点のロジカルシンキングを同時に働かせて「なぜ」を解明する私立探偵気味な節がありました。

 勉強ができない。
 持って生まれて性質上、合わないという人いるけど、苦手意識は要らない。
 勉強への興味を損なわないよう、面白く考えるのが私の概念です。

 テストに謎解き要素と伏線はないけど、時間内に問題を解き明かすこと。
 単純な考察はこうだ。一門何点+問題数=得点の足し算。
 まず、名前を書いてプリント全体をよく見る。問題形式(選択問題や穴埋め問題など)の位置情報を指差し確認しながら、指の間を潜らせるペンを掴んで、順番に問題を解いていくことなんかしません。解る箇所から埋めていく。大概テストは範囲を指定されるので事前のチェックと記憶を引き出せるか、ここで命運が別れる。この時点で試されていることに勇敢に挑む。独特な暗記を得意とする私にとって国語と社会は「答えはどこかに書いている」それを時間内にみつけられるか、自問自答より、もっといい方法がある。
 例えば、ひらかなで答えがわかるけど、漢字がわからない時は教室を見渡して、ヒントを探す。
 振り返ればカンニングの警告で担任の咳払いが飛んでくる、そうなる前の善処として文章のどこかに書いてないか。否、問題の制作ミスに耽る時間が惜しいから、自分の引き出しを開けよう。
 わからない漢字が「興」だとしよう。その場合、部首を分解して覚えているので組み上げていく。

 さん・どう・は

 書き順で上部の左右にを三本線・同・カタカナのハ=興

 熊と態は「ム月ヒヒ」クマは四本足、人間は心。こういう覚え方をします。次。
 選択、穴埋めの次に抜き出し問題のようなそのまま書けばいい箇所は何を求められているのか明確にしてから目読をして、探す。一番時間がかかるのが、記述。私はこれが得意なようで苦手、短文にまとめるならいざしらず文字数が決まっている場合、自分が何を思い、答えに至ったのかは不要。
 作文みたいに感情を述べるのではなく明確さを求められている。
 まるで脱獄犯を捕らえるが如くスポットライトを照らして、答えをみつける判断力と決断はスリル満点。そんな性格ですから自己採点にネガティブな要素はなく、少し先の未来の自分に期待しかない。
 さて、時間を持て余す連中が物音を立て始める頃、私は何をしているかといいますと。
 かきかた鉛筆恋占い。四六時中、何かしらの占いをやってる神妙深い少年まゆ。恋のお相手は皆さまご存じ、平安時代のプレイボート・在原業平。〇〇工業地帯という文字を見たらすぐに「えー、また業平のなりだよぉ」と照れる、あの感性は思春期の恋煩いだったと思いたい。

 世の中は頭のいい悪い、できるできないで判断する人が多いくらいだ。
 差別的だよね。違いを探し当てることに、何の意味があるのか。

 真面目に勉強というものに取り組んだところで、その実であったり目標がないと好奇心が誘惑を掴まえにいく。子供は想像力だけで楽しめるでしょう。お金と実力も社会的信用もないけど、自由な想像を巡らせるのは無料。想像上の自分は強く、無敵で、美少女が自分のことを勝手に好きになる。そんなに俺のこと好き?高まる自惚れと根拠の無い自信を盛り上げて、勇気づける。そんな経験は誰にでもあるよね。
 社会にはルールがあって、自分より上手くできる人だけが頭ひとつ抜けて選ばれる。頭のいい悪い、お金の有無や親が許す自由度という格差を一番わかりやすい方法で表現するとしたら「いじめ」集団生活の中ではみんなという単位、意思疎通や明確な言語化を求められます。
 弱い者いじめの文化継承もあり、ただ・・・・・・私みたいなうつけを手数で嫌がらせしようものなら、相手が敵わない大人を駆使してやり返すくらい心無いことも子供だからやります、勿論。
 いい悪いを決める裁判に被告という立場で、謝罪させてもなお、私にしたことを風化させないよう周囲に記憶させ、相手に何度も嫌な気持ちを思い出してもらう。それで相手の立場が悪くなったら、みんなを宥め、喧嘩はよくないと促し、だけど助けてはやらない。見殺し上等。物の価値観が独特で鈍感だからこそ成せる個性とでもいえば少しは聞こえが良いでしょうか。
 故に、内申点の計算式を意識しながら副教科の評価を落とさず学校生活を自ら整えていくことくらい日々の生活として受け止められる。自己管理ができるようになると、将来の目標である進路が見えて来る。やりたいことは大人にならないと何もできないと早い段階で判断がついていたので、将来の夢は「大人になること」支配からの卒業を、誰よりも望んでいました。
 途方もない夢はいずれ後遺症に変わって、周囲が目覚ましく成長していくのに夢を信じて貧乏したって己が根性を貫けたらそれでいい意地なんぞ身につけるものではない。貧乏人は意地が悪く、病気の人は現実が儘ならなず捻くれている。そこに他人が許容し、承認できるだけの価値は、あると思いますか。
 尊厳として在ること、それは否定しないけど。
 留まる者、愚かなりし。/堕天国宣言、戦わなければ愛より尊い花冠は得られない。
 子供でいられる時間は短い。成人になるまでの20年、カリキュラムに埋め尽くされた時間をどう過ごして大人になるのか。失敗しながら、成功体験を繰り返して、笑い合う仲間たちといずれ離れていく漠然として未来に何があるのか。期待しながら迎えるより、私は自分で決めたかった。そして、今が在る。

 受験生の皆さん
 人生に何度しかないチャンスをどうか掴み取って下さい。
 足りなかったものは後で幾らでも数えられる。それを減らすことが将来の負担になるので、自分の為に出来る限り最善を、そして自分を大切にしてくれる人に思いやりを忘れずに。
 
 私の場合、長らく続けてきたことは、習慣になり、正確であるほど技術は評価され社会で成立しています。文書制作の仕事や、物づくり、いわゆる手に職という分野が本業。こうしてエッセイを書いていられるのも、過去の自分からの贈り物だと、幸甚に存じます。それではまた別の機会に。
 

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はじめまして

投稿詩歴だけは長くても何も知らない人間です。そう人間で在ることに間違いないのだけれど、ひょっとしたら死人かも知れません。死人からコメントを書き込まれて癪にさわることがあるかも知れません。どうぞ遠慮なく返事を書き込まれてください。尚、ネガテイブに短気なので、誹りとか悪意ある嫌味は一応できるだけ避けてコメントしてくだされば、幸いでございます。
先ずはスタッフの皆様から集う皆様へ、ご挨拶を兼ねてよろしくお願いいたします。


                                      洗貝新

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バスケットボール・ジュリエット



バスケットボールに生まれ変わったジュリエット、
体育館の床に生まれ変わったロミオ。
ドリブルするたび、二人は口づけを交わす。

守護霊をやるのは人間になる前のリハーサルで、
見て学ぶ研修期間みたいなもん。

現世に生まれ変わる時、心臓を渡してくれる天使がトルコアイス屋の店員でなかなか渡してもらえない。

秒針に生まれ変わったロミオ、
分針に生まれ変わったジュリエット。
一分経つごとに、二人は口づけを交わす。

天使の学校の職員室では、キューピットの矢がたくさん積んである。

句読点がいっぱい落ちてる路地裏で寝たから、
体中に、。、。、。、。へばりついてる

天文学者が目からビーム出して、自分に都合が悪い星、爆破してく。

ハサミに生まれ変わったジュリエット。
髪の毛に生まれ変わり続けるロミオ。
散髪するたび、二人は口づけを交わす。

私はまばたきするたびに、エレクトリカルパレード一回分の電気代が発生する。

まぶたを閉じた時に広がるのは、宇宙になりそこなった暗闇。

地球が突然ウサギの顔面の形に変わって、右耳のてっぺんに家を建てて暮らしてる私は、左耳のてっぺんにある職場にジャンプして出社する。

私の靴に生まれ変わったジュリエット。
地球に生まれ変わったロミオ。
私が歩くたび、二人は口づけを交わす。

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早退性理論


制服少女、永久に留年。15回目の高2の夏。

私だけ、水色じゃないから、もう空に擬態できない。

学校は、事故物件。

百均で売られてる、私のクローン。

自粛ムードのさなか、青梅街道、全力疾走。

コインパーキングに停めたままにしてる、汎用人型決戦兵器。

かかってる虹が、今日は、どす黒い。
「七色全部、混ぜたの、誰よ?」

マシュマロ・ティーチャー。
黒板に、チーズフォンデュぶちまけて、今日の授業は、終わり。

一時停止ボタンで、永遠に止めた、二学期、最後の授業。

Googleマップの、現在地示す押しピンが、実際に空から降って来て、私を刺し殺す。

クレヨンで描いたバケモンが、実際に、この世のどっかに出現するから、政府から、もう描くなって言われてる。

パックマンみたいに、人を食いながら、現れる巨大な顔面。

体内は、マイナス100℃。

初めて食べた人間の味は、輪ゴム食ってるみたいな食感。

区間快速の血液と、各駅停車の血液では、体内を駆け巡るスピードが違う。

水色になれなかった赤色は水色のつもりで、今日も赤色を放つ。

「ところで、精液と、修正液は、同じ白色ね。世界を修正してるどころか、キャプテン・アメリカに秒殺されるような、粗悪品だけど」

最終決戦の日。また体操着が、盗まれた。

私の絶望には、肉球がついてて、そこに触れたら柔らかくて、もう絶望なんかどうでも良くなる。

「修正液、一気に飲んだら、私の心も修正できるかな?」

オナラって空気を妊娠してるってことだから、男だって妊婦になれる。

昼は落ちて来て、地面に擦りついて、摩擦で夕日に変わる。

プールサイド通信。

それは私にしか聞こえない周波数で、プールの監視員から届くテレパシー。

「宇宙海賊のくせに、光線銃の撃ち方も知らないの?」

ラーメンのナルトは、ワープゾーンになっていて、その上に乗ったら、着いてた、ネクストバッターズサークル。

真夜中はセロハンテープで青空に貼り付けてあるだけなんだって。

だから、天国の雑貨屋さんは、毎日セロハンテープが売り切れになるみたい。

銀河鉄道で発生した痴漢事件。

外に逃げ出した加害者は、たまたま横切った、隕石にしがみつく。

私の手の平の上に立ったマンション。

そこの住人達。

私が移動したら、住所が変わるって、クレーム入れてくる。

そのマンションを破壊してまで出した、じゃんけんのグー。

サザエさんに敗北した日曜日の夕方。

夜空を見上げるのにも、税がかけらて、好きな人に告白する時にも、かかる税金、支払うために、サラ金で借金してまで、伝えたかった、愛の告白。

観測史上最大の、心のユニゾン。

生きるってのは、走馬灯を君でいっぱいにするための期間。

何曜日でもない新しい八つ目の曜日、その日は一日中、君のことを考える日だから、君曜日と名付けたの。

Wi-Fiが見える私は、絡まったWi-Fiをほどく仕事をしてる。

「本当にごめんなさい」

間違って、運命の赤い糸ほどいてしまって、別れてしまった二人。

学校の焼却炉の中で生まれたアンドロイドは、
あの子が燃やしたラブレターが心臓。

空をミュートしたら、それからは無音で雨が降るようになった。

「昔、雨が降る時には、ポタポタって音がしてたんだよ」

「嘘でしょ?それってどんな感じの音色?」

「涙が落ちたときの音×たくさん」

相対性理論は、E=mc²。

早退性理論は、涙が落ちたときの音×たくさん。

マシュマロ・ティーチャーの今日の授業は、終わり。

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放火魔の幼体

やけどをくりかえす
爛れた舌に熱湯を注いで
ほら痛いでしょう?なんて言う
揃えられた前髪と内臓
生まれた毛の無駄遣い
あたらしい香り
きこえなくなった匂い
間違えたらころすよ、なんて言う
きみは牡丹を燃やした
ぼくは灰を拾った
かさぶたに塗ったら
ばらばらと崩れ落ちて
きみの歪な笑顔が恋しくなる夜に
ぼくはライターを弾いて
ぼくを燃やした
死んだ惑星に
咲いた花をころして
ぼくたちはいきる

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無人駅

決まりきった畔道は
ときに頼りない
これからどこへゆくんだろう
鳩尾の問いを
ぷかぷかと
白い息に託して

着いた 孤島
稲のない田に
浮かぶ無人駅
使えるのはまだ きっぷだけ

待ちつつ めくって
14番目の英単語
anxious
そうだ 紙一重なんだよな
いつのまにか
遠くから 波のとどろく音

ゆこうか どこへでも
ぷかぷかと 息をついだ
ウィンドブレーカーの中から

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歌う昔日

廃れた町工場
廃墟と化した学校
ドラム缶の置かれた空き地
人一人居ないこの町で
僕は歌うたう
騒音一つ聞こえないこの町は
僕の空想上で
昔日を歌う
昔は賑わっていたのだろうか
子どもは笑っていたのだろうか
どこかの貴女は
今でもここを覚えているだろうか
昔笑いあった
ケンカしあった
黄昏あった
初めて手をつないだ
この場所は
今でも変わらず残っている
あれからどれだけ経ったか
あの日僕らは約束した
「例え離れてもまたここに」
私は待っている
貴女を
二度と会うことのできない
貴女を
この廃れた町で
待ち続けている

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とにかく包丁で言葉をザクザク切ります

とにかく包丁で
言葉をザクザク切ります
ザクザク
切った言葉には
ありがとう
さよなら
ひどい
と色々な人の想いがありました

今日も
新宿で
言葉をザクザク包丁で
切っては
お客に出しています

一つ三百円です

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さいごのさいごのこねこちゃん


ことばが
音に





























       わたしが




いなくなって









                  せかいが










        きえる









































    もれでた     



















     さいごのことば







                予言しとくね




たぶん…      



















   あっ

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小さな星の軌跡 第19話 「新入部員」

 部活紹介の翌日。
 学校はもう通常の授業になる。一年生も早速六限目までみっちりと授業だ。わたしたちの天文部に来てくれる新入生はいるだろうか?
 放課後、不安と期待とが入り混じったまま、みっちゃんと一緒に第二理科室隣の天文部室に向かうと既に鍵は開いていた。
 耳納先輩とたかちゃんが天気図を書く準備をしている。

「早いね〜」
とみっちゃん。

「昨日の今日で一年生が来るとは思っていないけど、それでもね、やっぱり……」
とは少し照れくさそうなたかちゃん

 理科室は校舎の端なのでその隣の理科準備室の一部な天文部室も廊下を通り過ぎてゆく人影はない。
 引き戸を閉めてしまうと、すりガラスの向こうは静かな放課後となる。

 「じゃあ早速いつも通りに始めようか」
 と耳納先輩。

 ラジオを付け、気象通報に耳を傾ける。

 ふと、今入部希望者が来たらって思うと落ち着かない。いきなりこの状態見たらなんて思うだろう、そんな事を思いながら鉛筆を走らせてゆく。

 ラジオが終わり後は等圧線の書き込み、と皆でちょっとひと段落。いつもだとそのまま等圧線を書き込んでゆき、誰が早いか競争になるんだけど、なんとなく扉の方を見てしまう。

 一年前の自分はどうだったっけ、すこし扉の前をうろうろして、廊下に展示してある鉱物標本を眺めて、中から聞こえる声に聞き耳立てて、静かになった時に思い切ってコンコンとノックした様な、確かそんなだった。

 奥に座っていた耳納先輩の姿。

 部活紹介で見たその人がそこに居る。
もうそれだけで、胸がいっぱいで、そして大きな三年生の甘木先輩と大人っぽく感じた八女先輩。八女先輩はわたしの頭をもみくちゃにして可愛いいと喜んだ。

 そして、そうやって揉まれている所にたかちゃんがすっと扉を開けて
「すみません、入部希望なんですけど」
ってあっさりとやってきた。

 耳納先輩が鉛筆の手を止めて呟く。

「一年前、筑水さんと基山さんが入ってきた時を思い出すな。小さい影がうろうろしているのを僕と八女先輩、甘木先輩でかもーんかもーんおいでおいでって中から手招きしてたんだよ。

「ぷっ……。中でそんな事してたんですか?」
とみっちゃんが吹き出した。

「そりゃね、謎の念力を送ったり……」

その念力で、ノックする決心がついたのだとわたしは思った。

 午後四時半を回って、すりガラスに夕日のオレンジが差し込むようになった時、すっと影が映った。
「誰かきた???」
 わたしたち皆で目配せをする。

 こんこん

「はい、どうぞー」
現時点では部長の耳納先輩。
いつになく背筋を伸ばした、大人っぽい雰囲気だ。

 からからから……

女子一年生だ。きた。きたきたきたきた。
本当にきた。入部してくれるの星は好きなのかな初めてなのかなそれとも気象とか地質とか何が好きで一体どんな子なの???

 頭がいっぱいになる。

「あの、ここ天文部で良いですか?入部希望なんですけど……」

「はい、天文部ですよ。今はまだ部長の耳納です。お名前伺って良いですか?」

「あ、はい。1年C組の星乃です。星乃 霧(ほしの きり)、よろしくお願いします」

先輩が部活の活動記録ノートに名前を書き込んで、間違いないかを確認をする。

「じゃあ簡単に自己紹介しようかな、僕は3年A組。耳納紘、まだ部長です」

「あ、2年A組。筑水せふりです。天文は高校から始めたんだけど、よろしくね」
「2-Bの基山高瀬です。中学の頃から鉱物採取とかやってます」
「2-Aの篠山三智だよ。こっちのちーちゃんとは小学校からの同級生でね。去年の夏頃から星見てるよ」

「この学校の文化部は兼部している人も多くてね。僕は写真部にも入ってます。あと今日はきていないけど、3年生で三人ほど天文部の活動にも参加するから、それは来た時に顔合わせでいいかな」

「わたしたちは兼部はしていないけど、他の部活にゲストで顔出してたり、結構自由だからね。あと部活紹介でも言ったけど、学校に泊まっての観測会があるけどご両親の了解は大丈夫かな?」
と一応の確認。

「あ、それは昨日母と父に聞いて了解取りました。大丈夫です」

よかった。

「ちょっと聞いて良いかな。星乃さんは天文とか気象、どんな所に興味があるとか、こんな事しているとかあるのかな?」
先輩が尋ねる。

「あ、はい。実はあんまり地学とかはよく知らなくて、学校の理科で習ったくらいなんですけど、すみません。……実は絵を描くのが好きで、風景や周りの小物をスケッチしてイラスト描いたり。それで去年のこちらの文化祭で天文部の展示に月のクレーターのスケッチがあったのを見て、あ、こんなことも出来るんだって」

「へえ、それで美術部とかじゃなくてうちの方に?うん、嬉しいね。天文も今はデジタルがどんどん進んでいるけど、古くはね、フィルム写真どころかスケッチも観測記録で重要だったんだよ。天体写真でも風景を絡めて、星の風景ってことで星景写真て呼ばれるけど、スケッチでそういうのを表現するのも面白いかもね」

 耳納先輩が楽しそうだ。特技のある後輩ちゃんが入ってきたのは嬉しいけど、ちょっぴり嫉妬しちゃうぞ。ぷん。

 「星乃さんは、家はどの辺なの」
 とたかちゃん。

 「あ、えと、駅前のアーケードのもう少しうらに入ったあたりなんですけど。古い家が多い所で」

「ん、おーちゃんちの近くかな。3中?」
とみっちゃんが尋ねると

「あ、はいそうです」

「じゃあ小郡律羽(おごおりおとは)さんって一つ上の人は知ってるのかな……」
みっちゃんがすこし声を抑えて尋ねる。

「はい、先輩です。生徒会で一緒でした。大きなお家の。だから高校でもまた先輩後輩になりますね」

 みっちゃん、ちょっとありゃりゃって顔をしている。おーちゃん(小郡さん)は天文部員ではないけど時々は顔を出すし、なんたってみっちゃんの大切な人だからなあ。

 星乃さん、2人の関係を知ったらびっくりするのかな?
 それとも……まあそんな事心配しても意味ないか。

 「じゃあ一通り自己紹介も済んだし、星乃さんはこの入部届に必要事項を書いて持ってきてください、四月最後の金曜は泊まりの観測会を行う予定なので、そのつもりで良いですか?」

 「わかりました。よろしくお願いします、先輩」

 先輩、かあ。今のって耳納先輩だけで無くわたしたち全体なんだよな。
 一年前、何かあれば「先輩」って呼んでたわたしが、今日から「先輩」なんだ。

 耳納先輩も四月の観測会はまだ仕切ってくれるみたいだけど、多分その次はわたしにバトンを渡すつもりだと思う。

 天気図が描きかけのままなのに気づいた。

「星乃さん、わたしとみっちゃんはバス通学だから駅までは通学路一緒だし、ちょっと天気図仕上げるまで待ってくれないかな?10分で仕上げるから」

 はいって返事してくれたので、さくっと仕上げよう。幸いややこしい気圧配置でもない、穏やかな春の陽気の天気図だし。

 興味深く見つめる星乃さんの視線を感じながら耳納先輩とわたしたちは慣れた手つきで仕上げる。

 「じゃ、今日はここまでにしとこうか、皆さんお疲れ様でした」

 校門で一旦皆揃って、そして耳納先輩とたかちゃんは自転車で帰って行った。
 駅に行くバスも程なく来たので3人で乗り込む。ちょっと混んでるので立ったまましばらくすると終点の駅前だ。
 わたしとみっちゃんは山の方へ行くバスに乗り換え。星乃さんと別れると、確かにアーケードうらに行くほうへ向かって行った。

 みっちゃんがつぶやく
「まさかおーちゃんの後輩とは、なんかよく知ってるようだし、どうなのかな」

 わたしもそれに答える。
「心配いらないよ、きっと。先輩らしく堂々と、ね」

 わたしと耳納先輩もお付き合いしながら部活のみんなと一年間上手くやってきた。
 堂々と、恥ずかしい事なんて何もない。

 八女先輩が最後までわたしを応援してくれていた事を思い出しながら、暗くなってきた外を眺めバスに揺られる。

 バスを降りてみっちゃんと別れる。
「じゃあまた明日ね、篠山先輩」
 ちょっとからかって見た。

「もう、ちーちゃんったら。確かにそうだけどさぁ」

 みっちゃんは軽くため息ついて、でもいつもの様に手を振って夕暮れの山裾を帰って行った。
 わたしはすこし山道をのぼる。木々の間に春の星座がちらちらと姿をあらわす。
蟹座、獅子座、乙女座……一年間はわからなかったのが、今のわたしには、この時間のこっちならあの青い星はスピカだと、自身を持って言える。

 ちゃんと一年分成長した。

明日が楽しみだ。それじゃあね。


――つづく

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重力」と「海を渡る

この文章は、2月7日(土)20時に三浦果実アカウントにて公開される「ネット詩は文学じゃない#1」スピッツ特集に向けて書かれた、スピッツ的な世界観の歌詞です。



記号のように言葉をなぞっていく
誰もいない砂浜で 僕はデタラメな歌をうたう
大事だったはずの誰かも約束の欠片も
全部切って ここまできたんだ

空には星座が並んで 
その先に天国があるのなら
地上にはそれ相応の 歪な模様が描かれて
その奥底に 地獄が隠れているのかな
別れた人たちの 思いが混じった模様

繋がれたままの 見えない鎖
記号のような文字を 指先でなぞっていくよ
海を越えて 薄いシャツを脱ぎ捨てて
歩き方さえ 身体が覚えていれば

空っぽになったはずの 両手のひらに
まだ何かがベッタリと 張り付いている
これを「自由」と呼ぶのなら
それは空から降る 重たい鉛のようだね

追い風を待つより 呼吸を整えて
泥にまみれた靴を 脱ぎ捨てたなら
不格好なジャンプで 
雲の隙間 覗きこめるかな

ひび割れた二十三番レーン。スナック『エウロパ』の曇った鏡。日の差さないコインランドリー。錆びた回転ジャングルジム。剥製の並ぶ理科準備室。潮風で動かなくなった自販機。冬の夜の無人給油所。誰も降りない地下三階の踊り場。ビニールシートに覆われた未完の教会。湿った砂だらけの電話ボックス。深夜二時のバッティングセンター。金魚が死んだままの噴水。行き止まりのジャンクション下。カビの匂いのする貸しボート小屋。街灯の折れた遊歩道。名前を消したプレハブの事務所。屋上の切れたフェンスの際。埃を被った自動ピアノの部屋。コンクリートが剥き出しの防波堤。そして、君が立っていた踏切。不発弾が埋まったままの空き地。昼過ぎのプラネタリウム。誰も使わない避難階段。シャッターの下りた玩具屋。落書きだらけの給水塔。野良犬が眠る高架下。微かなハミングが聞こえる配電盤。カラスが集まる変電所。油の浮いた貯水池。半分沈んだ廃船のデッキ。三日月形の歩道橋。剥がれかけた選挙ポスターの裏。誰もいない映画館の四列目。結露したビニールハウス。湿ったマッチが落ちている地下道。波に削られた階段。折れた煙突の影。昼寝する猫のいる廃車。雨漏りするバス停のベンチ。時計の止まった理髪店。夕暮れの射撃場。苔むしたテニスコート。インクの切れた案内図。壊れたメリーゴーランド。草に覆われた線路跡。誰も開けないコインロッカー。湿地帯の木道。鳥籠だけが残るベランダ。死んだ貝殻の山。錆びた鎖のぶら下がる港。鏡張りのエレベーター。冷たい水の流れる洗い場。空の植木鉢が並ぶ路地。破れた網戸の向こう側。白いチョークの跡が残るアスファルト。古い図書室の隅。インシュリンの空箱が落ちている路地裏。波の音が反響するトンネル。誰も見ていない看板の裏。枯れた向日葵の畑。夜明け前のサービスエリア。塗り潰された標識。鍵の開かない温室。泥水が溜まった工事現場。切れた街灯の下の影。風で鳴るトタン屋根。砂に埋もれたサンダル。誰も呼ばない名前の書かれた墓標。暗い廊下の突き当たり。そして、僕が君を忘れたあの場所……。
もう何も残っていないよ。星座が笑ってる

繋がれたままの 見えない鎖
ヨレヨレの文字を 指先でなぞっていくよ
海を越えて 薄いシャツを脱ぎ捨てて
歩き方だけ覚えて 僕はどこまでも行くよ
ほら 次の季節の匂いがした
ただ 手を伸ばすだけでいいんだよ
許されるなんて思ってない
そこにあった心に従うだけ
その匂いがする方向に歩いていくだけ

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ざわめくT字路

行き止まりだ
感じた瞬間、道が見える
右、光っている
左、暗やみだけ
右、眩しくて見えない
左、慣れると見える
右、掴みとれない粒子
左、虚空を掴む
右、汗の匂い
左、嘘の香り
右、風の音
左、波の音
ざわめくT字路の真ん中で
影だけが二つに避けている

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再生

鏡を見たら、偶々、顔が現れてきて、眺めてみると、思ったよりシミが多かった。この顔の持ち主を探しに外を歩くと、靴が、足裏に地面の堅さを教えてくれた。世界とは、地球のことを言うのでしょうか。世界一を決める大会に、宇宙人はいるのでしょうか。私が死んでも、あなたが死んでも、地球は無くならないけれど、世界は無くなるのかもしれません。あの葉っぱはニンジンの葉っぱだね、と私が言うと、それを教えたのは私よ、とあなたは言った。焚火を見ながら読書をした記憶、を捏造した、もしくは、捏造されたので、鱗になって、剥がれ落ちていく。色や位置、形が変わったら、それはもう別物だから、機械で大量生産された物に安心して、私も誰かに成っていく。あの場所を通るたびに思い出してしまうことがあるかもしれないけれど、これまでの時間を決して否定しないでください。空間は時間を守ってくれると教わりました。ただ、時間は空間を守ってくれやしません。また鏡を見たら、顔は現れなかった。光を浴びすぎた顔は、シミに覆われ、黒子になってしまった。テレビ画面に汚れがついていると思ったら、宇宙のはしくれだった。戸締りやガス栓、蛇口を確認するように、靴を隔てた足裏で地面を押し返していく。シンボルツリーのアオダモは葉焼けしていて、霧雨が降り注いでいる。川の水位が上昇して、地表が減色するように、年々分厚くなっていく国語辞典を代名詞で薄くしたい。溢れた一般名詞とたくさん接続して、人波に溺れず、世界を泳いでいきたい。部品が取れて毀れたおもちゃはどうすればいいかと母に聞いたら、また買えばいいと教えてくれた。落としてしまったソフトクリームは、もう食べられないから、風食を待てばいい。再生ボタンが効かなくなったリモコンは、修理に出さず、現在だけを見つめればいい。親になるということは、代名詞になることだと知って、鏡を見たら、見慣れた顔が現れた。私はこの顔の持ち主に、固有名詞を与えた。宇宙人から見た私たちは宇宙人だから、この世界には宇宙人しかいないね、と私が言うと、それを教えたのは私よ、とあなたは言った。言葉を飲み込み、誰かに成っていく。あなたは、私が吐き出した記憶の欠片を保存している。それを時々眺めては、言葉にして、私に届けてくれる。その言葉の色や位置、形が変わらないようにするため、足裏で地面を押し返して、名詞を拾い集めていく。

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黒猫feat.最終兵器による、全てが美しい世界

SIDE A
人の寿命が見えるようになった目で、鏡で自分を見てみたら今日の日付けが表示されてた。

私は句読点が集まって出来た人間。

私が走ったら落ちていく、。、。、。、
辿っていったら私の居場所が分かる。。。、、。。、、、、、。。。、、、。

地球から両腕が生えて来て掴んだ流れ星
「夜空が落下して来そうだから朝が来るまで支えてて」

地球が真夜中に向けて両手を伸ばしたら掴んだ流れ星が私の方にふっ飛んで来たから、走って逃げていたら、。、、、。。、、、、。、。、私はどんどん散らばって、、。、、。。、。、、そして最後にはただの。だけが残る



SIDE B
最終兵器に改造された私の飼い猫

句読点を追いかけて、。、。。、、私を探す旅に出た。

自由の女神を豊胸手術して、万里の長城より長くして、その上をマッハで走って到着した火星の裏側で私の死体を見つけ出す。

私が今まで落として来た全ての句読点を集めたら、再び生き返らせる事が出来る事を知って、瞬間接着剤を全身にかぶって、世界の全てを全身に貼り付けまくっていく、、。、、、、。。。、、

私が落とした全ての句読点を回収し終える頃には、元々白猫だったのに大量に貼り付けた句読点で黒猫に見えるようになって、空の模様をデザイン出来る能力を得て、雲で愛の言葉を書いた、世界中の人達が読めるようにあらゆる言語で。
復活した私は飼い猫を抱きしめて、空に浮かんだ愛の言葉を口にする。、。、、、。。。。、、。


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 3

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何処までも爆発していく

君が
爆弾になって
真実を告げてまわるから
誰もが爆弾になれると

知ってしまったんだ

町は喜びと悲鳴の大連鎖で
誤爆、誘爆
映画が封切られ
真実のドミノ倒しに

導火線はもう信用できなくて
どれが誰の真実なのかもわからない
町の一番高い場所には天使がいる
なんて、誰から聴いたんだろう

天使が
ハンバーガーを食べている看板
全てを見下ろしながら、神様は
いないからハリボテに穴を開けた

更地の町で
剥き出しの真実に口付けした君に
最期の爆弾が落ちてくる

まるでコメディ映画みたい
爆発オチなんて最低、と遺言が
ジ・エンドの代わりに置かれている



爆弾にも爆弾の真実があるんだ

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霊威師のレンリ 旅語り「山の贄」・参


「私の祖母から聞いた話で、不確かな部分も少々ありますが……」

 ケンゼは、どこか昔に聞いた事を思い出すような仕草をしながらも、話す際にはハッキリとした口調で言葉を口にしていく。

「その一件があるまでは、事あるごとに、荒神を鎮めるための生贄を、本当の意味で差し出していたようです。差し出された者は、全てを喰われたか何かで、影も形も残らなかったとか」
「……」
「?」

 そんな彼の言葉を聞いて、レンリは静かに耳を傾け、ガンキは首をかしげる。

「……人柱って、なんだ?」

 そして、レンリにこっそりと尋ねた。
 彼女は特に表情を変えずに軽く息をつくと。

「何かのために命を差し出すこと。何かのために死ぬってことだ。大体そんなもんだと思えばいい」
「えっ……」

 静かに言葉の意味について説明し、それの驚きで固まってしまったガンキを余所に、レンリとケンゼは話を続ける。

「それで、その献身を忘れぬように、その娘の名前から取って「ミノリサマ」としてお祀りする事になった、というわけでして」
「なるほど。しかし、人柱を立てることによる封神術ですか。きっと霊術か、呪術か、そう言う術に詳しい何者かが、「ミノリサマ」に協力したのでしょうね。そう言う術の行使は、熟練の霊威師でも容易ではないですから」
「やはり、そうなのですね。祖母から伝え聞いた話では、当時、その村娘と交際していた余所の男が、高名な家の出の、流しの術師であったとか」
「なるほど。奇跡的な偶然が為したかもしれない偉業、という事ですか」

 そこで二人の会話はいったん途切れ、目を閉じる。二人ともが、この場で発せられた言葉を咀嚼するように、そうしていた。
 すると広間の襖が開けられる。
 目を開けてみると、その向こうから人数分の茶を盆に載せたミツバが姿を現した。

「あら、ちょうどお話の区切りかしら。さあさあ、お茶を召し上がれ。小さなお客様もね」

 にっこりと微笑んだミツバは、さらりとガンキにも茶を出すと、レンリに向き直る。表情は変わらず優しげである。

「レンリさん。お部屋には二人分の用意をしておきましたから。お好きに使ってくださいな。奥で、私たち以外は誰も来ませんから、ゆっくり出来ますからね」

 そしてそのように伝えると、今度は、矢継ぎ早にケンゼの方へと向く。

「あなた。今日から数日は、レンリさん達の事もありますから、村の方をうちの敷地に入れないようにしないといけませんね。私の方で、それとなく周り組の人に伝えておきます」

 彼に向けてはそれだけを話すと、そのまま何も聞かずに、まさに矢のごとく部屋から退出してしまった。

「「……」」

 その余りの勢いに、しばらく無言にならざるを得ない三人。
 ミツバが退出してから十数秒後。

「奥様、凄い方ですね。ガンキの事もそうですが、どう考えても会話を耳にされていたでしょうに」

 それだけ、レンリは口にした。
 そう言われてケンゼは苦笑していたが、何処か、自分の妻を誇らしく思っている雰囲気もあった。

「ええ。彼女、強い女性でしてね。外の学校に通っていた私を追って、ここに嫁いできた時もそうでしたが、余所の出身であることをものともせず、どんどんと村に順応しまして。今や皆から慕われるまでになっておりますよ」
「そうだったんですね。んー、お二人の馴れ初めが気になる所ではあります、が。それはそれとして、奥様にも、後で感謝をお伝えせねば」
「有難う御座います。きっと家内も喜びます。さて……」
「ええ。冷めない内に頂きますか」

 互いにそう言って笑い合うと、二人がほぼ同時に湯呑をもつ。ガンキも遅れて湯呑を持った。
 湯気立つお茶からは、ふわりとした緑茶のような香りが漂い、口に含むと、茶に特有の甘味や渋味などが混ざりあった、ふくよかな味わいが広がっていく。

「ふぅ……」
「甘みも、うま味も、しっかりと感じられる良いお茶ですね。これは村で?」
「はい、と言えれば良かったんですけどね。これは家内が、村を訪れた交易商から手に入れたものです。何でも昔の馴染みだとかで、相場よりも安く手に入ったとか」
「奥様も、余所から来られたという事ですし、その時の縁なのでしょうか。それに、良い目利きをお持ちのようで」
「ははは。私にはもったいない程の、自慢の妻ですよ」

 そう言ってケンゼは恥ずかしそうに笑った。その雰囲気からは、先ほどにも彼から感じられた、「妻を誇らしく感じている」と言う想いが存分に伝わってくる。
 ただ、彼のその空気感はすぐにしまわれ、表情もそれまでより真剣なものへと変わった。

「さて、と。一息ついたところで。依頼の話に入りましょうか」
「そうですね。少し話過ぎましたか。えっと……」

 そう言うとレンリは、手荷物の中から筒状の道具を取り出すと、そこから筒状に丸められた一通の手紙を取り出して広げた。
 紙面に躍っている文字はいずれも美しく、書いた者が相応の教育を受けている事がうかがえる。

「今回の御依頼は、依頼文の内容を拝見するに、村に存在している霊威の調査とその対処と言う感じですが。この認識で間違いはないですか?」
「ええ。間違いありません。もうお分かりの事と存じますが、ミノリサマに関する現象の調査と対処をお願いしたく、ご依頼した次第です」
「承知しました。では、幾つか確認を。一つめ、この村での私の行動については承認いただけますか?」
「もちろんです。明確な加害行為でなければ」
「有難う御座います。二つめ、対処の必要が生じた場合、霊威への対処方法については私に一任して頂けますか?」
「霊威の撃退や村人の協力も含めて、という事ですか?」
「はい。場合によっては、住民の避難誘導も行わなけれないけないので」
「そうですね……。可能であれば、で構いませんので。ミノリサマは守って頂きたく」
「それは構いませんが、一応理由を、お聞きしても?」
「祖母が言っていたんです。ミノリサマは人柱として身を捧げた、ならば、その後は穏やかに過ごすべきではないか、と」
「絶対に、と言う保証は出来かねますが。それでも構いませんか?」
「……霊威師たる貴方がそのように判断されたのならば、専門家の判断ゆえ致し方ないと、そう考えることにします。村の危機となれば、その対処に全力を注ぐのが村長と言う立場でしょうから」
「分かりました。ミノリサマの保全については、全力を尽くす事をここで宣言しておきます」
「有難う御座います。助かります」
「最後に報酬の件ですが、お支払いはどのように?」
「量は少ないですが、交易で得た宝石類がありますので、まずはそれを。それに加えて村の特産品であるキノコの乾物を提供いたします。日持ちしますし、品質も保証いたします。近場の町で売ればそれなりの値が付くかと。如何でしょう?」
「ふむ……」

 少しの間、考える仕草をするレンリ。
 交易用品は、それを捌くための方法が無数にある一方で、場所によって価格が変動しやすく、価値が安定しているとは言い難い商品でもあるので、旅をする人間からすれば扱いの難しいものである。ただ、彼女の場合、気にしているのはそこだけではなかった。

「一つ、私のワガママを宜しいですか?」
「なんでしょう?」
「それらに追加して、祠付近に落ちている石を一つ、頂けますか?」
「石、ですか? 構いませんが、またどうしてそのような物を御所望で?」
「あー、えっと。知人に、そう言うものを収集している変じ……好事家が居りましてね。手土産にと」
「はあ、なるほど?」
「すみません、変なお願いをしてしまい……。確認したいことは、これで以上です。有難う御座います」
「分かりました。では、ミノリサマを、宜しくお願いします。ガンキについては、事態が収束するまで我々の家で匿いますので、ご安心を」
「助かります」

 こうして会話と確認作業は終わり、レンリとガンキは、ケンゼの案内で、ミツバが用意した客間へと移動した。
 そこは広めに造られた部屋で、二人で過ごすには十分すぎる空間となっている。寝具も二組分、しっかりと用意されていた。

「レンリさん、オラ……。なんか、すまねぇ」
「気にするな。しばらく窮屈な思いをすると思うけど、すぐに解決するから、少々辛抱しておくれ」
「うん。オラは大丈夫。レンリさん、村のこと、お願い」
「任せろ。んじゃ、行ってくる」

 そう言うとレンリは、必要な荷物だけを持って、即座に村へと外出していく。
 その際に見えた彼女の瞳は、夜空のような深い青ではなく、夕焼け空のような、わずかに橙色の混ざったものに変じていた。

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Silent Days

ここは足跡から花が咲く君がタップダンスを踊って花だらけにした惑星。

「明日はサイレント・デイズだから気をつけて」
サイレント・デイズは一言でも話したら政府に殺される日。
早朝、拡声器を持った自殺願望者が演説を始める。

「宇宙大学で惑星解剖学を学んだ私は、地球を一瞬でバラバラにした。人類の引っ越した先は、涙の中にある街。

ここ涙タウンは、ずっと泣いてる巨人の眼球の下にある。

宇宙空間に浮かんでいる冷蔵庫の中で、
冷やされてコールドスリープしてる大統領からは、
電源ケーブルの形をした尻尾が生えてる。

毎日その尻尾を電源プラグに刺して眠る。

人類は、今では夕暮れを食べる虫に食われるくらい、
夕暮れとほぼ変わらない存在になった・・」
こんな日に国家機密をベラベラ喋んな、クソが。

サイレント・デイズに話した人間の死刑執行人をしている私の能力はコンクリート・コントローラー。

世界中の全てのコンクリートを意のままに操れる。

タワーマンションをドラゴンみたいに動かして、
自殺願望者を押し潰した。

そいつの走馬灯、画面共有して君の脳内にも流す。

そいつにあった前科。雲を握り潰した罪。
雲の殺害は懲役3分。配布された晩飯のインスタントラーメンに、お湯入れて待ってる間に出所。

君が放し飼いにしたままの影が、そろそろ帰って来る頃。
足跡から花が咲く君の影の足跡からは、
黒色の花が咲き乱れる。

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 3

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冬の少年

一人の少年の中で
寂しげな実存がすっくと立っている
帰り道の途上
友人の軽やかな口実と
食卓の重たげな沈黙の
その均衡を測りかねて
真冬が彼の心を波立たせ
木枯らしが少年の影を拡げ
両頬は微熱の予感にうち震えている
優しかった母の温もりを想う
(僕はあひるのようにひ弱だ
僕は僕の孤独をかがやく湖へ浮かべよう)
また一つ歳を重ねるたびに
幼心も氷のように溶けていくだろう
落葉樹のハミングに耳を傾けて
柔らかな腐葉土に混じった
実存の種を固く握り締める
少年が躊躇いつつも帰り道を進むように
季節も春を懐胎し
いつかは哀しみを手放していく

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 1

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resurrection

歌が聴こえる
幾層にも重なった奥と上と左の触る河の歌
ひとりごとの羽毛も黄土になると
笑いとばしてしまう
経験が蓋付きの容器に入ったまま持ち込まれ
ひどい傷口を目の当たりに眠りこむ邑
遥か先ふしだらな天使
我ら考えごとにて時をきれぎれに刻んだ
はずが話は熄んで
てのひらは きたならしい


蝶が飛びまわるのを追ってどこまでも行ければ幸せだと思った子がかつていた この話の内にある永遠は どこまでも という部分なのであり どこまでも という場所が蝶に宛書されていたのだった


文字を書くことは
永続への挑戦なので
代償をもとめる


観よ、つめたい弓矢を
他の多くの若い極論を蹴散らして
座り込んだ褥。
あからさまな星向きに否を唱えて。
陽が湖の膝元へ屈むとき
溺れてしまえ、と
ねじが
これほどまでによくできた喩とは思わなかった。
高らかに唄う往路の行進。
復路はなく。
万節を閲することあたわぬものに
熱を湛えた海と呼ばうかはたれ

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 5

 5

青空

きみがきみであるために
太陽は照り
雲はほどけ
空気は澄んでいく

それを
協力と呼ぶのは
少し違う

ただ
きみがいてほしい
それだけなんだ

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 5

 1

いい、茶柱

そっと 




口紅を
交互に  
つけて
湯呑を
まわす
唇を
てらす



いい、
茶柱

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 1

 2

青曜日の魔法少女

また青曜日が来たら世界の全てが青色になる。

魔法使いの学校を中退したから、
一学期までに習う魔法しか使えない私の奥歯に埋め込まれたUSBメモリーに入ってる国家機密

毎日奪いに来る刺客たち、
一番最初の授業で習った召喚魔法、ブロッコリーの中から生まれたグリーンの召喚獣も、今日はブルー。

全く戦力にならずに、私は殺されて血まみれのまま死ぬ。

幸い今日は赤曜日で、
世界は赤一色で私が出血しても分からないから、
死体はそんなに無惨に見えない。

天国不動産に紹介された物件、
右隣に住んでるアインシュタイン、
左隣に住んでる『昨日の世界に足跡をつける事が出来る君』。

そしてまた青曜日が来て、
アインシュタインが新しい数式、青空に書き殴る。
「今まで私が雲だと思っていたものは、彼がチョークで書いた新しい数式だったの?」

虹曜日が来たら世界の全てがルービックキューブみたいな虹色になる。
その日に建てた家は雨上がりにしか出現しない。
だから私達は雨上がり以外、ずっとホームレス。
翌日には、また青曜日がやって来る。

昨日の世界に足跡をつける事が出来る君が、
昨日につけた虹色の足跡。 

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 4

 4

おならうた

どれだけ見栄を張っても、オナラブー
どれだけ格好つけても、オナラブー

偉大な文豪小説家
或る日、五月の雨の中
得意のペン先尖らせて
魅惑の名文閃いたと、ポンと膝打ち肩慣らし
お決まりのポーズを取った瞬間


                   ー
                 ー  ー
               ー     ー
           …    ー   ー
            ー  ー   ー
             ー    プ

っと、スッキリしたあ!

どれだけ見栄を張っても、オナラブー
どれだけ格好つけても、オナラブー

イケメンテレビの俳優さん
ウキウキ九月の山の上
汗かき拳を握りしめ
最高のショットが決まったと、トンと肩下ろし
素に戻った瞬間


                        ー
                     ー ー
                    ー ー 
                   ー
                    ー
                     ー
                      ス

っと、サッパリしたあ!

どれだけ見栄を張っても、オナラブー
どれだけ格好つけても、オナラブー

怖くていかつい大統領
爽やか四月のパレードで
とびきりスピーチ決めてみせ
どうだいオイラはと、ホッと足下り
椅子に座った瞬間


                           ーーーーー
        ーーーーーー                  ーーーー 
              ーーーーー       ーーーーーー
                   ブーーーーーー

っと、バキュームだあ!

どれだけ見栄を張っても、オナラブー
どれだけ格好つけても、オナラブー

見栄を張って張って張って
胸を張って張って張って
                       ー
                   ッ    ー 
                    ー    ー
                     ー    ー
                      ー  ー
                        ブー


見栄を張って張って張って
胸を張って張って張って
                    ー
                   ー ー
                    ー ー
                  ー  ー
                 ー   ー
                ー  プー

どれだけ知恵を絞っても、オナラブー
どれだけ頭捻れど、オナラブー


或る日、悩まし女の子
三月乙女を愛でる日に
自作の恋文読み上げて
嗚呼悲しと、ボソッと涙し
顔を上げた瞬間
                      ッ 
                     ッ ッ
                      ッ
                   ブリッ

と、カレーの匂いだあ!

どれだけ知恵を絞っても、オナラブー
どれだけ頭捻れど、オナラブー


頭賢し、名探偵
お芋の美味しい十月に
今日も得意の名推理
真実突いたし、ズバッと解決!
犯人を睨んだ瞬間                  ッ
                           ー
                          ー
                         ー   
                          ー ー
                           ー ー
                           ヌー


っと、おっと、しまったあ!

どれだけ知恵を絞っても、オナラブー
どれだけ頭捻れど、オナラブー

モテないクラスの男の子
太陽ギラギラ八月に
私の人生真っ暗暗 
もうダメだと、ウエッと吐き気を催し
目を伏せたその瞬間
 
                             ー
                            ー ー
                           ー ー
                         ー  ー
                        ー ブホー
                         ー ー
                          ー 

っと、尻の呻きだあ!

どれだけ知恵を絞っても、オナラブー
どれだけ頭捻れど、オナラブー

芋を食って食って食って
お腹張って張って張って張って
                                 ッ
                                  ー
                                 ー
                             ー  ー
      ッ                       ブー
       ー
        ー 
         ー 
        ピョー        

芋を食って食って食って
お腹張って張って張って張って

                                

                                                                           
                           ー 
                          ー
                         ー
                       スー   


    ピー
 ッ    ー
  ー     ー
   ー  ー
     ー

っと、毎日がスペシャル! 
おしまい。

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 2

 4

しらやまさんのこと 8

 もう一緒にグラウンドを駆け回ることができない
友達について、S君は作文を書いた。その作文を読
みながら泣いた。その声を聞きながら、僕も泣いた。
 とてもかなわない し、かける言葉もない。

 春は、一度やって来て、またちょっと引き返した
ようで、僕らの町にも雪がちらついていた。日本海
の冬型の雲はすじ状で、雪の降っている向こうには
青い空が広がり、山がまばゆく輝く。日々の生活で
ほんの少し立ち止まって普段とは違う方向を眺める
だけで、言葉以上の世界が広がっているときがある。
少なくとも僕が持ち合わせている言葉よりは。
 
 僕らは優しくなれる。
 罪多き生き物で、偽善を覚えて、利己主義であっ
ても 優しくなれる。

 もう会えない君へ、こんなにも寂しい思いをする
のなら、
 口だけじゃん 
と言われながらも、優しい言葉をかければ良かった
と思う。

 もう会えない君へ、
 夏のグラウンドは暑かったね。
 冬の体育館は冷えたね。
 初めてのゴールはうれしかったね。

 もう会えない君へ、
 山 白く 輝いて 
 まぶしいよ。

  

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 4

周回軌道

これまで生きてきた中で
一体どれだけの分岐点に立ってきただろう
どれだけの選択肢があったというのだろう



もしもあのとき 違う途を選択していたら
いまとは違う生き方ができていただろうか




     目の前に巨大な壁がありました
     その先へ進んでいくためには 
     どうしてもその壁を越えないといけません
     しかし 運動神経皆無で高所恐怖症のわたしには
     とてもその壁をよじ登ることは不可能です
     果てさて 困ってしまいました
     近くにはしごのようなものはないかしら
     もう少し わたしでも登れるくらい低くなっているところはないかしら
     ウロウロ ウロウロ 右往左往と立ち往生ばかり
     そのうちに抜けられそうな場所を見つけ出します
     良かった助かった
     高い壁をよじ登ることもしなくて済んで
     これで先へ進んで行くことができます
     できるはずです



     その巨大な壁をうまいこと回避できた気になって
     壁の向こうのその先へ
     進んで行けてるような気になって



     あるとき ふっと気づくのです
     眼前には 相変わらずあの巨大な壁が
     まるで嘲り笑うかのごとくに立ちはだかっていることに



     ずっと抜け道をみつけた気になっていたけれど
     うまく壁を越えられた気になっていたけれど
     それはただ そんな気になっていただけで
     実はずっと ただその巨大な壁の周辺を
     ぐるぐる ぐるぐる
     廻り歩いていただけだったということに




もしもあのとき 違う途を選択していたら
違う人生が待っていただろうか
いまよりもう少しマシなふうに生きられていただろうか



たとえどんなに いまとは違う途を選択したとしたって
結局まわりまわって
いまいる同じ場所に辿り着いているんじゃないだろうか
たとえばそう あの巨大な壁の周辺を
ただぐるぐるぐるぐる 廻り歩いてただけだったように



人生って いろんな選択肢の中から
自分で選んできたようにもみえるけれど
本当はそうではなくって
けどきっと そのときそのときで
それを選ぶより他に方法がなくって
選ばされ選ばされてきた結果
いまいるこの場所に辿り着いたんじゃないだろうか




どの道この道 所詮は周回軌道




そういうのをだから
つまるところたぶん



運命って呼ぶんじゃないかってさ






☆★***★☆***☆★***★☆

 なにを選んでも選ばなくても 
 きっとたどり着いたのがいまの自分なのだから

 そんなに自分を責めなくっていい
 否定しなくっていい

 そう思うのです




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うすノロ白書

梨と宝石
夏の墓場から掘り起こした
私だけの祭壇
電柱に履き違えた靴の片方
だってトラベリングしたら恥ずかいでしょ?
鮎と見て
味噌汁を飲んで
飲み干したお椀を持って
底に雪が積もるまで

寡婦かカフカかふかふかな毛布か
蝶々結びにする午前三時
経済誌の表紙をめくる
大学院生のブラックコーヒー
 (ドトールの牛とは)
内定もなく泣いてもなく
探偵でもない
 (お品書きにはそう書いてある)
急急如律令
エロイムエッサイム
悪魔の耳打ちに太鼓を叩く
フルコンボを目指した革命家の前夜

星の光が屋根に突き刺さり
私はためらってしまう
 マイメロの一匙のプリン
 プーチン大統領の横に眠る犬
 アトランティスの残尿 
 (レジュメにはそう書き加えてある)
マスオさんの定年退職の日に
日本の赤さをたしかめたって
クロミちゃんはイケメンが好き?
私はね、マイコプラズマは嫌い

性別の記入欄に性癖を書き込む
「老師さまー、アダルト画像をあつめておきましたよー」
ガチャピンの緑に川が流れる
あきらめて速くなる
明太子をほぐすカニカマのサラダ
エキティケのゴール(取り消された)
ネッシーとフナッシー(ビッケブランカ)

きっと明日は雪が降る
プラネタリウムのおでこの上で

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みな波なみなみの涙か

涙みたいな朝だ
誰も知らない海辺
静かな心臓の音
琥珀色の朝焼け
生まれたばかりの今日に
口づけをする
おはよう
みんな死んでしまった
豊かな暮らしを求めて
みんな逝ってしまった
おーい、どうだー?
人生は楽しかったかー?
さらさらの砂
殺し合いなんて
別にしたくなかった
たった一つの選択
そこに意志があった
右をむいても
左をむいても
内蔵が破けた
破けたなかに
真珠があった
それは神授だ
大事にしなよ
まだ寒い夜明け
新しい時代がそっと息をしている
肺を通って
今日を通して

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染色

「今月で辞めることにした」
 めいちゃんが誰にともなく言った。誰にともなく言ったが、今待機室には夏ちゃんとめいちゃんしかいないので、たぶん夏ちゃんに言った。

 夏ちゃんは
「そうなんだ」
 としか返さないしそれ以上の感情は抱かないが、強いて言えば、わたしに言うんだ、とは思った。めいちゃんのピンク色の電子タバコから“ズズ”と音が鳴る。平日の16時。客があまり来ない時間帯。今日夏ちゃんは指名0で、めいちゃんはさっきキャンセルが入った。

 用事がなければダラダラと出勤して待機室をカフェ代わりにしている夏ちゃんと、別の夜職なのか、何かの夜勤なのか、夜はここに出勤しないめいちゃんは、昼間の待機室のいつメンだ。いつメンだが、ここの女の子たちはあまり会話をしない(ここに限らず素人清楚系は女の子同士の会話が少ない。気がする。)ので、さっきの会話(?)が4、5回目のそれだったと思う。

 めいちゃんはまだ窓の外を眺めたまま、あれ以来とくに何も話しかけてこない。話しかけられた以上、一応読んでいた文庫本を閉じた夏ちゃんの配慮にもおそらく気づいていない。めいちゃんのタバコがまた“ズズ”と鳴る。

 めいちゃんはタバコを吸う時決まって窓の隅の地べたに体育座りをする。体育座りがちょっと崩れためいちゃんの、ちょうど膝の頂点の真上の位置には、A4のコピー用紙が2枚貼られている。

〈   は換気扇の下で〉

〈窓を開けるのは  まで※外から見えます!〉

 赤い文字は日に焼けやすい。恐らく「タバコ」と「ココ」があった空欄。「ココ」で「タバコ」を吸うのは、夏ちゃんが知っている限りめいちゃんだけ。なのでこのコピー用紙たちはおそらくめいちゃんのために貼られたものだった。

 めいちゃんは窓の外に向かってではなく、窓の隅、ちょうどコピー用紙がある位置にぶつけるように煙を吐く。容赦ない。何度も貼り直したセロテープの跡。めいちゃんのヤニか日焼けか、薄黄色に染まったコピー用紙。日光で白く焼けた赤い文字。このコピー用紙の不毛な長い戦いも、めいちゃんのさっきの一言が本当なら、今月で終わるのだそうだ。

 夏ちゃんは立ち上がって、手元はバックの中のモバ充を漁りながら、目はめいちゃん越しに窓の外を見る。雑居ビルの3階。目の前の土手よりちょっと高い位置。薄く黄みがかった空、めいちゃんの鼻先には半月が透けて見える。風が吹いてオギが揺れる。湿った土が雑草の隙間から覗く。曇りガラスの窓の隙間から生臭い川のぬるい温度が流れてくる。

 旅情に呑まれてとか、学生時代に好きな人と、とかならまあ眺めても面白い気もしなくもないが、日常的に眺めたいほどの景色ではない。ましてや客の相手をする合間に、コピー用紙に咎められながら眺めたいほどの景色ではない。

 めいちゃんはもしかしたら大の犬好きで土手を散歩する犬を眺めているのかもしれないし、川の向こうに見えるマンションに初恋の人が住んでいるのかもしれないし、大学でオギの研究をしていたのかもしれないし、土手や川じゃなくて窓のサッシマニアなのかもしれないし、そういえば「キラッ」みたいな模様が入った曇りガラスは建て直す前のおばあちゃん家とここでしか見たことないな、

まで考えたところで手元で一生懸命探していたモバ充を待機室のコンセントに刺しっぱなしにしていたことに夏ちゃんは気がついた。さっきの60分コースの前に充電し始めたモバ充。見ると80%まで溜まっていた。

「店で充電した充電器をさ」
 まためいちゃんがしゃべった。今日はよくしゃべる。

「好きな子に貸してって言われて、」
 たぶんこれが5、6回めの会話だけど、そんな段階で“好きな子”なんてワードが出てくるんだ、と夏ちゃんは関心した。

「なんか汚い気がして、『嫌だ』って言ったことがあって、」
 分かる気がしなくもない。でも夏ちゃんは今80%まで溜まったモバ充を見てホクホクしていたところである。そこへの配慮は無いらしい。

「それから店で充電するのはタバコだけにしてる」
 タバコはいいんだ……。と夏ちゃんは思ったが、
「そうなんだ」
 と返した。なぜならこれが5、6回目の会話だからである。

 めいちゃんは箱から2本目を取り出してセットする。夏ちゃんは80%のモバ充を100%にするべくコンセントに刺し直す。めいちゃんはいくつなんだろう。店のプロフィールは確か21で、それくらいに見えるけど、在籍も長いらしいしもうちょっといってるだろう。長くいても“なんか汚い”の感覚があるってことは、やっぱり夜に出勤しているのは昼職の夜勤なのかな、昼職の夜勤てなんだよ、と夏ちゃんは思いながら文庫本に手を伸ばした。

「めいちゃーん」
 めいちゃんを呼びに受付のセトさんが階段を上がってくる。めいちゃん本日初仕事だ。写真指名40分コース。写真指名しなくても、さっき夏ちゃんが出たから次はめいちゃんだったのに。指名料分1,000円損した客が下にいるらしい。めいちゃんが窓を閉める。2本目は吸い始める前だったようだ。ピンクのリップが付いた片方を上にして、真っ白なままの片方が箱に吸い込まれる。

 バタバタとローションと、ウェットティッシュと、タイマーと、ポイポイカゴに入れて準備するめいちゃん。待機中にセットしておけば良いのに。と思いながら、夏ちゃんはめいちゃんに手を振る。めいちゃんは嬉しそうに手を振りかえす。表情は幼いが、笑うとゴルゴ線が出る。やはり24、5歳はいっているだろう、と夏ちゃんは思った。

 夏ちゃんはやっと文庫本に戻ってきたが、店舗型だと呼ばれてからプレイまで時間ないからタバコ臭いのバレるよな、〈浮浪者は首をのけぞらせて、悲鳴を上げようとした〉でもめいちゃんは指名客もそこそこいるし、〈だが、不気味なささやき声のほかはなにも出てこなかった〉やっぱ素人清楚系も本来の清楚系ではないよな、

 といった具合で目が滑てしょうがない。しょうがないから、窓を少し開けて、めいちゃんの定位置に座ってみる。そこからだとちょっと向こうのバイパスが見えて、めいちゃんはもしかしたら車好きなのかもしれない、と夏ちゃんは思った。

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帰路

ぺたぺた鳴る靴、
揺れるビニール袋。
右肩にリュック、
左手のホッカイロ。
ポケットのキーケース、
真っ赤に晴れた耳、
変わらない景色。
あの帰路を覚えている。

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地上波へようこそ

マグニチュード6の地震が発生しました。
大きな警告音とともにテレビの画面が途絶えた。
ちょうどFIFAワールドカップの試合を録画している最中だった。
 揺れる揺れる
       揺れは次第に縦から横へ傾き
壁に掛けてあるヒデヨシが落ちてきて、
ヒデヨシが落ちればイエヤスも落ちてきた。
すぐにテレビの中継局に電話をかけた。
 ~おい、わしゃノブナガという者じゃがずっと受信契約しとるモノじゃぞ、早う映るように手を打てや~
衛星放送の受信が途絶えて
しばらくすると雨が降り出した
地上放送へチャンネルを切り替えてみる
変わらず地震の影響を画面に流している
~「マグニチュード6から3に切り替わりました」
というテロップが映し出されていた
なんだ!ここは天国じゃなかったのか
揺れが収まり僕はここで眼が覚めた
衛星放送の画面は信号で
三原色だけが斜めに揺れていた。

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おかわりないですか?

 おかわりないですか?
 こちらはおかわりないです
 そちらはおかわりないでしょうか?
 あちらもおかわりないです
 みなさんおかわりないですかね?
 おかわりありません

 どこへいっても
 おかわりなさそうです

 こうも日本が変わってしまうとは
 みんなお腹が空いています

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